「大人の男性ファッションを洗練させていく」挑戦が始まった

濱田博人
HAMADA HIROTO

[PROFILE]
1965年5月17日生まれ、熊本出身。株式会社マッシュスタイルラボ専務取締役。大学卒業後、サンエー・インターナショナルにて営業、MD、店舗開発などを経験し、マーケティング本部執行役員に就任。東京スタイルとサンエー・インターナショナルが統合して設立されたTSIホールディングスの取締役を経て、2016年よりTSI傘下のナノ・ユニバースの代表取締役に就任。同社でデジタルマーケティングを推進し、就任3年目に過去最高益を達成する。同社代表取締役退任後、顧問を経て、2020年6月より(株)マッシュスタイルラボ専務取締役に就任、現職に至る。

僕がファッションの世界に入ったのは1989年、バブル期でファッション消費が旺盛な時代でした。洋服が大好きで、内定していた大手不動産会社を蹴って「どうしてもファッションがやりたい」と留年までして、アパレル業界に飛び込みました。バブル崩壊後も、団塊ジュニア世代が次々と社会人になり、働く女性も増えていき、日本はファッションの一大消費地となっていきました。

90年代はモード系からデザイナーズブランドまで目まぐるしくトレンドが移り変わっていった時代です。その激しい流れの中で、肌感覚で消費者のニーズをキャッチしてMDや店舗開発、新規事業を次々と手がけていく。うまく仕掛ければ大当たりするめちゃくちゃ面白い時代でしたが、日本全体が背伸びして、貪欲に流行を消費しつづけた時代でもあったと思います。

2000年代以降は、ラグジュアリーブランド派とファストファッション派に二極化していきました。ヨーロッパなどでは普通のことで、日本も背伸びとトレンド一辺倒の時代を終え、落ち着いてきたともいえるかもしれません。中間層がファストファッションに流れることで、日本のアパレル業界は苦戦が続きました。一方で、本当に良いものを見極められる日本人も増えてきて、MADE IN JAPANの見直しも始まっている。さらに円安の影響で、海外ブランドの価格が相対的に上昇し、良いものを買いたい人が行き場を失っている状況です。

フェアプライス・ハイクオリティで服づくりをすれば、国内でも大きく成長できるチャンスがやってきていると感じています。こうした機をとらえて、この春、大人の男性に向けて「上質を着こなす日常」を提案するファッションブランド「AOURE(アウール)」を誕生させました。これまで僕が培ってきた服づくりの知識や哲学、ファッション観をすべて注ぎ込んだブランドです。

ミニマムで機能性に優れた大人スタイルに似合うEVERING

今日着ている服もすべてAOUREなのですが、上質とリラックスを兼ね備えた、頑張りすぎない大人のファッションを追求しています。アフターコロナでは、いつでもどこでも仕事ができるワークスタイルに変わり、スーツとネクタイで決めたスタイルより、着ている人がアクティブに動き、リラックスして働けるスタイルが求められています。40代、50代の大人がスーツを脱ぎ捨てたときに、大人の風格と余裕を漂わせるメンズウエアをつくろうというコンセプトを貫いています。

ミニマムで機能性に優れた大人スタイルに似合う装飾品が、EVERINGだと考えています。僕自身、使い始めてもう1年になりますが、指先ひとつでスマート決済ができる――これは究極の機能美ですよね。装飾品は腕時計しか身につけない主義ですが、アクセサリーが苦手という男性でも、自然に身につけてもらえるデザインだと思います。

ナノ・ユニバースの代表取締役時代に、日本のアパレル業界で先駆けてデジタルマーケティングを推進したのですが、そこで一番こだわったのが「いかにストレスフリーな環境で、お客様に買い物を楽しんでもらうか」でした。ショッピングで感じるストレスをできるだけ排除して、純粋に服を買う楽しさを味わってもらう。そのための“動線”は徹底的に作り込みました。

EVERINGもまさにそうです。スマホを取り出す、マスクを外して顔認証する、アプリを立ち上げる、あるいは財布から小銭を探す――これまで現金やスマホで買い物する際、いかにストレスフルな動線を踏んでいたかをEVERINGを使い始めてあらためて自覚しました。

「服」という、ものづくりに携わる人間として、人が快適やストレスを感じる事象に誰よりもセンシティブでなければならないと思っています。身につけるものには、かなりこだわりのある僕ですが、EVERINGをずっと使い続けているのは、スタイリッシュであると同時に、毎日に「快」をもたらすアイテムだからだと感じています。

いい服づくりをするには、自分自身が「快」を知らなければならない

体のラインに変化を感じた30代後半から、本格的なボディトレーニングを始めました。マッチョに鍛えすぎず、服をスタイリッシュに着こなせる細身の引き締まったボディラインが目指すところです。今、僕は57歳なのですが、60歳で理想のスタイルに仕上がる予定でこれからが楽しみです。

カロリーは気にせず好きなものを毎日食べていますが、朝の45分間のトレーニングだけは、ずっと続けている習慣です。自分でメニューを組み、体の反応を見ながら体をシェイプする。歯磨きや朝食と同じ習慣の一部なので、とくに頑張っているという感覚はないですね。

ただ、体づくりでも、仕事でも「こうなりたい」という目標はつねに明確に意識しています。「意識が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる」で始まる名言がありますが、自分を思うように変えていくには“意識”をすることが何より大切だと僕は思っています。

マネーについても同様で、趣味のゴルフ、交際費、投資など自分の中で毎月バジェットはざっくり決めています。EVERINGは1000円、2000円程度の小口決済に使うことが多いのですが、小さな出費ほど無尽蔵に使っていることが多い。だから、月1ペースでEVERINGのアプリを立ち上げて、月の明細をチェックするにようにしています。

EVERINGを使い始めてから、これまで現金やコード決済、クレジットカードにバラバラに分散されていた小口決済が整然と「見える化」されて、自分の消費のくせが一目瞭然でわかるようになりました。お金の使い方も“意識”することで、貯蓄や投資はうまくなっていくと思います。

服好きが高じてファッション業界に飛び込んで30数年、僕のキャリアはそろそろ最終フェーズに近づいていると感じています。第3コーナーを曲がってからは、より自分らしい走りでゴールを目指したい。それはこれまでの服づくりの経験や知識をフルに活かして、着る人の人生をより豊かにする本当にいい服づくりをすることだと考えています。

そのためには、まず自分自身が無理をせず、快適を追求し、上機嫌で生きること。毎日の決済でEVERINGを鳴らす瞬間は、そのことを自分の中で再確認する瞬間ですね。